本議案は、令和5年人事委員会勧告に示された公民格差3,722円を解消するため、全級全号給の月例給の引上げを行い、さらに特別給を0.1月分引き上げようというものでございます。
我がは、公務員の待遇改善自体を否定するという考えには立っておりません。しかし、終身雇用、年功序列がまだまだ残り、改革を重ねている民間の人材マーケットから取り残された現状の人事給与制度から脱却する必要があると考えています。
公務員制度を抜本的に改革し、能力・実力主義にのっとり、活躍している人材に報いて、頑張らない人との差をしっかりつけるといった人事給与制度の変革を進めることは重要であり、そのような根本的な課題解決を先送りにして、公民格差を精緻に算出することにどれほどの意味があるのか、疑問に思っていることを冒頭申し述べさせていただきます。
その上で、私たちは人事委員会勧告の基礎となる職員と民間従業員の給与比較の方法について、課題があると考えます。企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の都内事業所を調査母集団としたということですが、令和5年特別区内には約50万の事業所数があり、うち従業員規模50名以上は1万18、僅か2%しかありません。
つまり、勧告はごく一部の上澄みともいえる民間との給与比較であり、それに加えて、調査に誠実に対応する余裕のある企業の数値を基礎としていることから、ここで行われている公民比較に正当性があるとは評価できないと考えます。
また、人事委員会勧告では、平成30年4月の給料表切替えの際に、特段の措置によって生じた差額支給について、着実な解消を毎年明確に求めています。とりわけ、任命権者に対しては、任用面による差額支給解消が明確に求められておりますが、23区で差額支給者は令和元年4月時点で2,221人でした。今年は864人と、昨年と比べ283人減にとどまり、うち任用による解消は24人で、僅か8%にすぎませんでした。この点においても、差額支給解消に向けて十分な措置が講じられたとは言い難く、より一層の積極的取組が求められると考えます。
もちろん、現在の物価高状況や給与を引き上げようという社会的な機運を踏まえれば、引上げという結論自体に反対するものではありません。今年11月24日に公表された消費者物価指数を見ると、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は、2020年を100として105.8となっており、2020年比5.8%増、前年同月比でも4.0%の上昇があるということです。物価上昇を公務員だけ即座に反映できることに対する違和感はありますが、一定の理解が得られるものと考えます。
また、人材確保の観点等も踏まえ、初任給及び若年層に重点を置きつつ改定を行ったこと、会計年度任用職員への勤勉手当支給や人事評価導入も評価したいと考えます。
一方で、評価制度に関しては、まだまだ変革が必要であると考えます。練馬区で2017年に策定された人事・人材育成改革プランでは、前川区長も信賞必罰の組織運営が極めて重要になるとおっしゃっております。私たちはこのメッセージは重要なものと認識をしており、ゆえにAからEの5段階評価のうち、ほぼ全員がC評価以上で、大多数が4号給以上毎年昇給し、D、E評価が極めて少ない現状に疑問を持っています。
頑張っても頑張らなくてもあまり差がつかず、同じように給与が上がっていく環境では、職員の能力を最大限に生かし切ることは難しい。意欲のある職員がより評価される環境を、今後もつくるべきだと考えます。
まとめますと、今回の議案について、人事委員会勧告を根拠に引き上げるということを、私たちは賛成することはできません。
以上の理由から、議案第135号・練馬区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例ほか2議案について、練馬区議会日本維新の会として反対といたします。(拍手)